装着型サイボーグ“HAL”

先天性ミオパチー 6歳で診断されたIさん(30歳)

他の子と違う自分…孤独感も

生まれた時から周りの友達と比べて発育環境が遅く、検査の結果、先天性ミオパチーと診断されたのは僕が6歳の時でした。

手や足の筋力が弱いため体育はほとんど見学でしたし、友達と一緒にできないことが多く、孤独感もありながら学校生活を送っていました。床からの立ち上がりは、ゆっくりだけれど手を使えばなんとか、階段は手すりを頼りに上り下りをしていました。

 

小学生のある日を境に、これまでにない息苦しさや頭痛を感じるようになりました。主治医に相談をしたものの、原因は分からずその後も症状は続き、17歳の時に人工呼吸器を導入しました。呼吸する力が弱いことで息苦しさや頭痛の症状が起こるのだそうです・

 

生きることって、ただ事じゃない

現在の僕は、自力歩行はできるものの10mほど歩くと息苦しさや頭痛が起こります。肺機能検査では肺活量のレベルが95才以上で、同年代の健常の方と比べると10%ほどの呼吸状態と言われています。

電動車いすを使うことで無理せず移動はできていますが、病気の進行と歩く機会が減ったことにより歩行機能の低下が顕著に進んでいます。転ぶと自力で立ち上がることができなくなっていますし、転倒時に手で支えることもできないため顔を地面に打ち付けることもあります。

 

HALとの出会い

先天性ミオパチーは、リハビリテーションや呼吸療法、栄養療法などの対処療法はありますが治療薬がありません。このまま治療もできず、自分で何もできなくなったり、寝たきりになったりすることを想像すると不安はどんどん大きくなりました。

そんな状況の中、HALの開発者である山海先生や、研究班代表の中島先生が講演されるのを拝聴する機会がありました。先生方の話は、まさに新規治療法だなと目からうろこでした。その後、すぐ治験に参加しました。

 

HALを装着した歩行運動では、力を使って足を踏み出すわけではなく、頭でイメージすることで脳から筋肉に送られる信号をHALが読み取って自力歩行を補助してくれます。僕は、サチュレーションで様子を見ながら人工呼吸器を付けて治療を受けました。HALだけでなく人工呼吸器との併用療法により、なるべく体の負担を軽減して歩行運動を行うことで、歩行距離を伸ばすことができました。

HALを初めて装着して歩き出したとき、素直に楽しいと思いました。

 

メッセージ

根本的な治療法がなく対処療法だけという進行性の病気なので、ともするとあきらがちな思考に陥りやすいですが、僕はリハビリなどで現状を維持したり、なるべく進行を遅らせたりすることが重要だと思っています。そして、これまでになかったアプローチがHALです。医療やテクノロジーは日々進歩しているので、今後も新規治療法が開発されていくると信じています。

諦めることなく前向きな気持ちを維持していることは、心の豊かさに繋がると考えています。この手記を読んでくださったあなたも、気軽にHALにチャレンジしてみてください。一緒に頑張れたらと思います。

注意事項

当サイトは、装着型サイボーグHALによる治療を受けられる方、およびご家族の方向けに情報を掲載しています。
医学的な判断、アドバイスを提供するものではないことをご了承ください。
HALの治療を受けるに当たっては、医師の指示に従ってください。

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